本尊(阿弥陀如来)
本尊

 西蓮寺は、弘安10年(1287)に没した法印淳慶が開基とされる中世期創建の古刹で、阿弥陀如来坐像を本尊として安置しています。阿弥陀如来とは、西方極楽浄土にあって、往生を願う人々を、浄土へと迎え入れる仏です。
西蓮寺の木造阿弥陀如来坐像は、高さ53.5cm、光背・台座を含めると総高約1.3mです。材質は檜材で、本格的な寄木造の工法がとられています。像全体は漆箔仕上げで、頭部は群青彩に塗られ、頭部にある肉髻珠や額にある白毫および玉眼は水晶製のものが嵌め込まれています。像は、右足を上にした結跏趺坐の座り方で、両手は衆生を浄土へ迎え入れるための来迎印を結んでいます。
均整のとれた体躯や浅く控えめな衣文には、平安時代後期の「定朝様」と呼ばれる仏像彫刻の作風がみられますが、引きしまった顔立ちと、胸や腹の厚みのある肉取りからは、鎌倉時代初期の新しい様式が感じられます。このことから、区内でも数少ない鎌倉時代の初期に製作されたものといえます。
本像は、江戸時代と大正時代に修復がなされていましたが、平成8年(1996)に保存のための解体修復が行われ、造立当時の姿をよみがえらせています。
平成13年7月 北区教育委員会