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浮間のかわいそうな鯉たち 2004/06/15

 浮間公園と浮かんでいた鯉 (yynet撮影)
 13日の日曜日の午後、都立浮間公園を散歩した。掲示板への書き込みがきっかけでこんな立派なコーナーを設けていただいたのに後が続かないので恐縮しているが、掲示板だけはいつも読んでいる。それで、コイヘルペス(KHV)病やカルガモ親子の話題が続く浮間公園をちょっとのぞいて見たくなったのだ。

 浮間公園には鳩に餌をやりによく来ていた。ところが鳥インフルエンザの流行で家内が餌やりを怖がるようになって足が遠のいた。騒ぎの収まらないBSE(牛海綿状脳症)にしろ動物が身をもって何かの危機の到来を訴えているようで不気味だが、遠い地での出来事と思っていたKHVがすぐ身近で発生しているのを知って、何というか新鮮な驚きだった。
 池の水辺はパラソルが満開に開いている。その下で黙々とウキを見つめる釣り人たち。「こんなに人が増えたのはここ数年だよ」。家が5分ほどのところにあって毎日通ってくるというおじさんが教えてくれた。以前、中学生が水死する事故があって水辺の近くは数十aと浅くしているがその先は2メートルほどの水深だという。確認はしていないがそういう悲しい事故は起きてほしくないし常に用心が必要だ。

 どのバケツも空で釣果は乏しそう。「いやね、浮間は日本でも何本指かに入るほど難しい所なんだよ。相手が大物だからね」。いかにも高級そうな釣竿をのばしている中年の男性は全国の湖沼での釣りを楽しんでいるという。浮間では巨大ヘラブナが狙いだが「なかなかノラない」という。ノルというのは揚げるという意味合いのようだ。「ほら、また来てるよ」。男性が足元の水辺を指差した。体長1bほどもあろうかと思われる大きな鯉のシルエットが黒々と見える。「魚影の濃い池だよな。鯉じゃ(竿の)穂先を持っていかれるから困るけどね」と男性が言った。

 池の周りを何度も巡ったが、その日は死んだ鯉はみつからなかった。時間帯のためなのか、一方の楽しい話題、カルガモの親子にも会えないまま夕闇が忍び寄る池を去った。

 都の公園課によると毎日死んだ鯉を集めて焼却処分しており浮間の池は13日はゼロ、12日、11日は各1匹だった。週単位では先週が13匹、先々週が5匹、その前が13匹と増減を繰り返している。実際の対策を取っているのは水産課で「浮間の池は放流実績もないし原因は全く不明」と言う。都内でKHVが確認されたのは23箇所(6月14日現在)だが、関連性はない。誰かが放した鯉が病気だったという推理が一番合理的だが、基本的にはナゾというしかないそうだ。

 鯉にも個体差があって元気で居続けるのもいるにしろ、理屈の上では池の鯉が全滅するまでヘルペス禍は収まらないという。人体に影響なしとは言うものの、なんと可愛そうな浮間の鯉たち。対応策は全くないのだろうか。動物異変が本当に身近なものになった思いである。